ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
ヒンドゥー教徒にとって、ガンジス川は最も神聖な川であり、川そのものが神格化されて「母なるガンガー」として敬われている。
今回は、ガンジス川の神話についてまとめてみた。
バラナシやリシケシなど、ガンジス川が流れる地域に行く前に知っておきたいプチ情報
▼目次はこちら (クリックして表示)
ガンジス川(ガンガー)とは?
ガンジス川は、ヒマラヤ山脈からインド北東部にかけて流れる全長2525kmの大河だ。
インドの輪廻転生の舞台であり、インドを象徴する聖なる川だ。
ガンジス川の歴史や神聖である理由については以下の記事でまとめているので、あわせてご確認ください
ガンガー(ガンジス川)の神話
ガンガー(ガンジス川)の神話は、インドの有名な叙事詩「ラーマーヤナ」に収められている。
ガンガーはもともと天界を流れる聖なる川であったが、それがどのようにして地上に降りてきたのを描いている。
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サガラ王が盛大な儀式を行う。
昔々、インドのアヨーディヤーという国にサガラという王がいた。
サガラ王は、アシュヴァメーダ祭という王者の証である盛大な儀式を行い、豪華な装飾品を身に着けた馬を引き連れて、神々に対する覇権を見せつけることにした。
天界の王であるインドラ神はサガラ王に嫉妬した。
サガラ王に嫉妬したインドラ神が馬を誘拐する。
サガラ王に嫉妬したインドラ神は、儀式に使われる馬を誘拐し、長年瞑想に励んでいた聖なる賢者・仙人(リシ)であるカピラ仙のアシュラム(修行するための道場)に縛り付けた。
サガラ王は、盗まれた馬を見つけ出すように、息子である6万人の王子たちに命じた。王子たちは地上、下界、あちこちを探し回った。
カピラ仙を探し回る王子たちの喧騒に悩んだ神々がブラフマー神に相談すると、ブラフマー神は「王子たちはヴィシュヌ神の化身であるカピラ仙によって滅びるであろう」と告げた。
馬を探していた6万人の王子が焼殺される。
長い探索の結果、王子たちはカピラ仙のアシュラムに馬が縛られているのを発見し、馬を盗んだ犯人はカピラであると考えてカピラ仙を襲撃し始めた。
修行を邪魔されたカピラ仙は腹を立て、カピラ仙の怒りにふれた王子たちは遺灰となり地中深くに埋もれてしまった。
サガラ王は王子たちが帰ってこないことを心配し、孫であるアンシュマット王に命じて捜させた。
王子たちの魂を供養するためにはガンガーの水が必要。
アンシュマット王は遺灰と化した王子達を発見し、焼き殺された王子達を供養するためにカピラ仙に許しを求めたが、カピラ仙は「天界を流れるガンガーを地上に導き、その水で遺灰を浄化しない限り、王子達は供養できない」と伝えた。
ガンガーは、ヴィシュヌ神の足の指から流れ出て、ブラフマー神の町の周りを流れる川で、天界にのみ流れているので地上に下ろす必要がある。
アンシュマット王の息子であるディリーパ王は、ガンガーを天界から地球に下ろすことができないかブラフマー神に懇願したが、ブラフマー神を説得することに失敗した。
バギーラタ王の修行が認められ、ガンガーを地上に下ろす許可が下りる。
ディリーパ王の息子であるバギーラタ王は、祖先(遺灰となった6万人の王子たち)を供養しその魂を救済するため、ヒマラヤの山中で数千年にわたる厳しい修行を行った。
ブラフマー神はバギーラタ王の苦行に満足し、ガンガーを地上に下ろす許可を与えた。
シヴァ神の助けを借りて、ガンガーを地上に下ろす。
プライドの高いガンガーは、地上に下りることを侮辱と考え、天から降りて彼女の力で地上界を破壊することに決めた。
ガンガーが地上に直接降下したときの衝撃は計り知れない。地上はその衝撃に耐えることができずガンガーの思惑通り破壊してしまうであろう。
ガンガーを受け止めることができるのはシヴァ神だけであるとして、ブラフマー神はバギーラタ王に「シヴァ神に援助を求めよ」と助言した。バギーラタ王はシヴァ神に助けを求め、シヴァ神はこれを引き受けた。
シヴァ神はヒマラヤに座り、天界から流れ落ちるガンガーを自身の頭で受け止めた。ガンガーはシヴァ神を地球の中心に押し込んで溺れさせようとしたが、シヴァ神の巻き上げた髪の毛の中に閉じ込められた。
これを見たバギーラタ王は、地上にガンガーを流してくれるように、1年間シヴァに祈り続けた。
シヴァ神は、バギーラタ王の苦行に満足し、シヴァ神の髪の毛の中に閉じ込められていたガンガーは、シヴァ神のほつれた髪の毛と体を伝って地上に流れ落ち、ヒマラヤ山中に注がれた。
ガンガーを地上に導き、6万人の王を供養する。
ガンガーはバギーラタ王の先導に従って地上で7つの流れに分かれ、バギーラティー川、アラクナンダー川、マンダキニ川、ヤムナ川など、ガンジス川の支流となった。
ガンガーは地中深くに埋まる祖先の遺灰の上を流れ、6万人の王子たちの遺灰は浄化され、魂は供養されて天国へ昇ることができた。
めでたし、めでたし。
シヴァ神とガンジス川
シヴァ神に関連する神話の中で、ガンジス川が天から降下する話は重要な神話のひとつだ。
ガンジス川の神話を受けて、シヴァ神の髪の毛の中にガンガーが描写されることがある。
上の画像では、シヴァ神の頭上に巻き上げられた髪の毛に花が描かれている。この花が「女神ガンガー」で、そこから流れ出ている水が「ガンジス川の水」を表している。
シヴァ神がガンジス川の流れを受け止めている姿は、「ガンガーダラ」と呼ばれ、エレファンタ島石窟寺院群の彫刻にこの姿が残っている。
さいごに
ガンジス川は神聖な川として、沐浴する人がいたり遺灰が流されたりする一方で、人々の生活の場でもあり、水浴びを楽しむ子供や、洗濯や皿洗いする主婦、歯磨きや入浴をする人など、色々な方がいるところが面白い。
上流で水質がきれいなリシケシでは、ガンジス川でラフティングをすることもでき、ヒンドゥー教徒がどれだけガンジス川を神聖なものと捉えているのか疑問に思うこともあるが、それとこれとは別というゆるい感じがヒンドゥー教らしくていいなぁ思う。
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