ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
私は2011年に旅行者としてはじめてインドを訪れた。旅行中に見たことも聞いたこともない英語表現にちょこちょこ遭遇した。2016年からインドに住んでいるが、普段の何気ない日常にもインド独特の表現があふれているとしみじみ感じる。
前回は仕事でよく使うインド英語の独特な表現についてまとめ、Twitterでインドクラスタの皆様にたくさん共感していただいた。(\Do the needful/インド英語のユニークな表現12選(お仕事編))
そこで調子に乗った私は、日常生活でよく出くわすインド英語についてもまとめてみることにした。
前回「お仕事編」をたくさんの方に読んでいただいて嬉しかったので、調子に乗って【日常生活編】も書いてみました。
— こめちゃん🇮🇳 सप्पोरो में चंकोमे一時帰国中 (@chankomeppy) November 20, 2019
Timepassになると思うので、お時間あるときに読んでみてください(^o^)🧡🤍💚
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インド英語のユニークな表現(日常生活編) https://t.co/SKUGHf07aN
新しいものを見つけ次第随時更新していくよ!
- インド在住者・旅行者
- インド英語を勉強中の人(←いるのか?)
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食べ物
まずは、食べ物に関連するインド英語。イギリス植民地時代の影響を受けに受けまくっている。
Veg / Non veg
インドに来たことがある人、住んでいる人にはお馴染みの「Veg(ベジ)」「Non veg(ノンベジ)」。
▼こんなマークです
- Veg(ベジ)=ベジタリアン用メニュー(野菜のみ)
- Non veg(ノンベジ)=ノンベジタリアン用メニュー(卵・肉・魚を含む)
最近では黄色いマークを見ることもある。これは「ベジ+卵」の意味。
町を歩いていると「Pure Veg(ピュア・ベジ)」と看板に書かれているレストランをよく見かけるが、これはベジタリアン料理しか取り扱っていないレストランのこと。
日本人はレストランでノンベジ料理を選びがちだけど、ベジ料理の方がおいしいことが多いよ。料理人がベジタリアンの場合は味見できないからね!なんちゃって!知らんけど。
ムスリム料理やパルシー料理はノンベジに限る!
Capsicum(カプシカム)
イギリスの古い英語でピーマンのこと。他国では「Green pepper」または「Bell pepper」というのが一般的。
ちなみに、ヒンディー語でピーマンは「Shimla Mirch(シムラー・ミルチ)」と呼ばれる。
シムラーとはイギリス植民地時代の夏の首都であった都市、ミルチはチリを意味する。
ピーマンはもともとインドに存在しない野菜だったが、イギリス人がインドに持ち込んだようで、シムラーで大量生産されたことから、シムラー産のミルチが市場に多く出回り、「シムラー・ミルチ」と呼ばれるようになった。
レストランのメニューの英語の説明書きにも「Capsicum」と書かれていることが多いんだけど、最初なんの野菜なのか分からなかったよ。
Curd(カード)
牛乳やヤギ・スイギュウなどの乳に、酸を加えて凝固させたものの物の総称だが、インドやスリランカなどの旧イギリス植民地ではヨーグルトを指す。
ちなみに、ヒンディー語でヨーグルトは「Dahi(ダヒ)」という。
インドに住み始めた当初、「Curd」「Dahi」「Yogrut」は全て異なるものだと思っていた。
というのも、お店で売られているヨーグルトのパッケージには「Curd」と表記されているモノもあれば、「Dahi」と表記されていたり、「Yogurt」と表記されていたり・・・
▼Curdと表記されているもの
▼Dahiと表記されているもの(インド国鉄Gatimaan Expressでの食事)
▼Yogrutと表記されているもの(ANAムンバイ発成田行きNH830便の機内食)
甘さや柔らかさに何か小さな違いでもあるのだろうか?・・・いや同じだよな・・・
最終的に違いが見出せずインド人に聞いてみたところ、言い方が違うだけで、全て同じものとのこと。
なんとなく、味がついているものや輸入感漂うものが、ヨーグルトと表記されているような気がする(マンゴーヨーグルト、ギリシャヨーグルト等)。
プレーンなものはカードかダヒ、かな。
Tiffin(ティフィン)
ティータイムの軽めの食事やスナック全般のこと。
そこから派生して「軽食全般」⇒「そんなに重くない食事」⇒「朝食や昼食」を指すこともある。
また、さらにそこから転じて、インド人がお昼ご飯や軽食を持ち運ぶための容器も「Tiffin」と呼ばれるように。
さらにさらに転じて、もはやTiffinの中に入るものはなんでも「Tiffin」なんじゃないかというくらい、Tiffinの定義は幅広い。
いやいや、これはヒンディー語でしょ(笑)と思うなかれ。オックスフォード英語辞書にも掲載されているれっきとした英語なのだ。
ただし、インド以外で使われているのを聞いたことがないし、オックスフォード辞書にも「インドの軽食」として掲載されている。インド英語の代表例のひとつともいえる単語だ。
Tiffinの語源は二つある。どちらもイギリス植民地時代の話。
イギリスのチョコケーキに「Tiffin」というものがある。イギリス植民地時代、イギリス人が食後やティータイムに「Tiffin」を食べていたことから、軽めのスナック全般が「Tiffin」と呼ばれるようになった。
イギリス植民地時代、アフタヌーンティーはイギリス英語のスラングで「Tiff」と呼ばれていたらしい。それをインド人が真似して、アフタヌーンティーの時間帯に食べる軽食を「Tiffing」と言い出したものが「Tiffin」に変形した。
▼Tiffinのイメージ図
どちらの説も納得だね!
日常会話
日常会話で頻出するインド英語。ヒンディー語をそのまま英語に直訳したものが多く見られる。
Good name
インドで名前を聞かれる際、「What is your good name?」と聞かれることが多い。
「good name」とは「『お』名前」的な意味なのだが、なぜ good を name の前に付けるのだろうか。
ヒンディー語で相手の名前を伺う際のフレーズを英語・日本語に訳すと以下のようになる。
「naam(=name)」の前に「shubh(=good)」をつけることで、丁寧な言い方になるのだが、これを英語に直訳すると「good name」となるわけだ。
日本語で「名前」の前に「お」を付けて「お名前」にするのと同じ感覚だと思えば、違和感は全くない。
一般的な英語では What is your name?と尋ねる。
丁寧に言ってくれてるみたいよ!
Which country
インドで出身国を聞かれる際、インド人は「where(どこ)」ではなく「which(どれ)」を使うことが圧倒的に多いことに気付く。
なぜ「which」を使うのかというと、これもヒンディー語のフレーズが影響している。
ヒンディー語で相手の出身国を伺う際のフレーズを英語・日本語に訳すと以下のようになる。
一般的な英語では Where are you from? と尋ねる。
ちなみに、すでにお気づきかと思うが、ヒンディー語と日本語の語順はほぼ一緒!
日本語を英語に直訳しても、通じちゃうよ!
Time pass
ひまつぶしや、そんなに重要ではないたわいもないことをして過ごすこと。
I am doing timepass.
ごろごろしてるよ~
一般的な英語では killing time や chilling と表現する。
これも直訳系でわかりやすい!
TakeとPutの多用
インド英語では、やたらと「take」と「put」が使われがち(な気がする)。
インド人の日常生活は以下の例文のように、 take と put であふれている。
I am taking my lunch right now.
いまランチ中~!
⇒どこかに昼食をもっていくのかな?
※正しくは「I am having my lunch right now.」
インド英語において「take」は、~を取る、摂る、撮る…
日本語で「とる」という意味の動詞全般に置き換えることができる。
Please put on the switch.
電気つけてくれる~?
⇒スイッチの上に何を乗せればいいのかな?
※正しくは 「Please switch on / turn on the light.」
I will put this dress for tonight party.
今夜のパーティーでこのドレスを着るよ~
⇒ドレスをどこかに置くのかな
※正しくは「 I wear / put on this dress.」
インド英語において「put」は、~を付ける、(身に)着ける、漬ける…
日本語で「つける」という意味の動詞全般に置き換えることができる
日本人にとっては分かりやすい!直訳最高!
人物関連
人の呼び方に関連するインド英語。
Auntie / Uncle
英語で Auntie(アンティー)/ Uncle(アンクル)と言えば親戚のおばさん・おじさんのことを指すが、インドでは親戚に限らず、すべてのおばさん・おじさんに対して使う。
女性は何歳になっても若く見られたいものである。推定年齢50歳くらいまでの女性には、「(親しみをこめて)お姉さん」を意味する Didi(ディーディー)を使うのが無難であろう。男性も若々しいおっさんの(~40歳くらい)までは「( 親しみをこめて)お兄さん」を意味する Bhai Yaar(バイ ヤール)と言うべきだ。それ以上の男性を呼ぶときは Uncle Ji(アンクル ジー=おじさん)と呼ぶのが無難。
※Ji=日本の「~さん」にあたる表現
アンクルジーの便利さといったらこの上なき。
病院・薬局
病院や薬局では、一般的な英語よりもインド英語のほうがよく伝わる。緊急時にきちんと伝えられるように要チェック!
Loose Motion
下痢のこと。お腹がゆるくてルーズ(ゆるい)状態であるということから、このように言われる。とても覚えやすい。
(薬局にて)
Give me... tablets... to sto..stop loose motion..
下痢止めの、く…薬を…くれ…
一般的な英語では diarrhea(ダイアレア)が使われるが、インド英語にとってはちょっとお固すぎで直接的すぎる。Loose Motionは「(下痢による)腹痛」「お腹ぴーぴー」「お腹ゆるめ」というニュアンスもあるので、オブラートに包んで使える。
お腹を壊す機会が比較的多めのインドでは、とても使える表現!
Throat Pain
のどの痛みのこと。下痢同様、直訳なので覚えやすい。
ちなみに、throat は「トロォート」と発音する。
Turmeric Latte is very good for throat pain.
ターメリックラテはのどの痛みによく効く。
一般的な英語では sore throat が使われる。
喉の痛みに効くのがターメリックラテ!インドのホームレメディーとして定番だよ!
Johnson's Buds
綿棒のこと。Johnson &Johnson‘sの綿棒の商品名が一般名詞化した。
以前怪我をした際に、病院でお医者さんに「Johnson's Buds で患部を掃除してね」と言われてちんぷんかんぷんだったので聞き直したところ「Swab」と言い直してくれた。お医者さんも使うほど、インドでは一般的に使われている。
日本人が絆創膏のことをバンドエイドという感覚に近い。昭和生まれの道産子は「サビオ」と言いますけどね。(筆者は道産子ですというどうでもいい情報。)
どこの国にもこういうのはあるよね~!
さいごに
日常生活にあふれるインド英語の起源は、イギリス英語だったり、ヒンディー語だったりと色々で、インドの歴史や多様性を感じることができる。
ヒンディー語と日本語は語順や単語の意味の捉え方が似ているため、ヒンディー語由来のインド英語は、日本人にとってもスンナリと違和感なく入ってくるはず。
身のまわりのインド英語をマスターして、インド生活に馴染もう!
そして最終目標はインド人化することです!
- インド英語のツボ ―必ず聞き取れる5つのコツ―
インド人が何を言ってるのかを聞き取ることができない人向け。インド英語を聞き取るコツについて解説。
リンク - 【図解】英語は「インド式」で学べ!
英語を話すのが苦手な方向け。インドにはどうして英語を堂々と話せる人が多いのか?それは、簡単な言葉で「分かりやすく」、簡単な表現で「相手に伝わりやすい」英語を話しているから。インド人に倣って簡単な文章で英語を話してみよう。
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- インドとビジネスをするための鉄則55
インド駐在・出張が決まった人向け。ビジネスマンが最低限知っておくべきインドの基礎知識を広く浅く紹介している。
リンク - インド人コンサルタントが教えるインドビジネスのルール
これもインドでビジネスをする日本人向けの書籍で、インドの基本情報についてQ&A形式で分かりやすく解説している。Kindle Unlimited対象。
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