ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
「ビールをオンラインで注文する」
日本では普通のことだが、インドでは普通ではない(なかった)。
長いあいだ日本に一時帰国していたのだが、ムンバイに戻ってきたらオンラインでお酒の注文ができるようになっていた。なんとも喜ばしい進歩である。
また、先日ムンバイセレブ御用達のジャパニーズフュージョンレストランに行ったところ、日本酒がメニューにあった。高すぎてとても注文できたものではなかったが、これまた日本人としては喜ばしいことである。
ムンバイに住んでて感じるのは、ムンバイのお酒の偏差値はインド国内では高いよなぁ…ということ。(【※重要】他国とは比べてはいけない)
インドのお酒の話、ムンバイのお酒の話について軽くまとめてみたので暇つぶしがてらどーぞ。
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はじめに:インドのお酒事情
インドはお酒に寛容でないというイメージをお持ちの方も多いだろうが、それは正解でもあり間違いでもある。
インドではお酒に関するルールは各州で異なり、販売されるお酒の種類や酒税などが異なる。
例えば、州によっては酒類の販売を禁止しているところがあり、これらの州はドライステート(禁酒州)と呼ばれる。グジャラート州、ビハール州、ナガランド州、ミゾラム州、ラクシャドウィープ(ユニオンテリトリー)の飲食店ではアルコール類は提供されない。酒類の販売を認めている州でも、お酒に対して保守的な地域もある。
それに対しゴア州やは酒税が非常に低く酒飲みの天国と化しているし、大都市では若者がホテルやバー・レストランでお酒を飲みながらワイワイしている様子は日本と同じだ。
ストロングビール
地方部ではアルコール度数が高いストロングビールがよく飲まれているイメージがある。度数の高いお酒で安く酔おうという魂胆だと勝手に思っているが真相は不明。見たことのないローカル銘柄にも数多く出会った。
インド旅行で地方都市に行った際に飲んだストロングビールの写真をせっかくなので貼っておく。
ストロングビールは個人的にあまり好きではないが、選択肢が他にないので飲むw
ビール以外のお酒
私がビール党ゆえにビールの話ばかりになってしまったが、ウイスキーも人気。ラム酒(オールドモンク)も人気。(←ビールとの扱いの違い…)
同世代のインド人の友人が昔バーでこんなことを言っていた。
「高いお酒を飲める金銭的余裕があっても、ついついオールドモンクのコーラ割りを頼んでしまうんだよね。学生時代を思い出すんだ。」
なるほど、オールドモンクのコーラ割はそういう立ち位置なのか。私たち日本人でいうところのチューハイやカシスオレンジ的なポジションなのだろうか。真相は不明だがそういう声もあった。
農村部や貧困層の男性はデシ・ダール、またはデシ・リカー(デシ=ヒンディー語でローカルの/先住民族のというような意味)と呼ばれるサトウキビなどから作られたお酒を飲んでいる。農村部の事情は存じ上げないが、個人的にはアル中の男性が飲んでいるイメージがある…
非常に安いのだが、蒸留が十分に行われないために体に有毒な成分が含まれていることもあるようで、インド人の友人に「あれは絶対に飲むな」と言われている。安くて依存性が強く健康を害するお酒という、怖いイメージがある。
ムンバイのお酒事情
私が住むムンバイのあるマハラシュトラ州は、確かインド国内でも1・2を争う酒税が高い州のひとつ(だったはず)。
輸入酒は酒税200%を超え、日本のスーパーでデイリーワインとして売られているような1000円以下のお手頃ワインも、ムンバイだと3000円近くかかる。外国のお酒は高いからできるだけ買いたくない。(国内産業を守るために外国製品には高い税金が課される)
マハラシュトラ州は酒税は高いもののお酒のバラエティは非常に豊富だ。
田舎の方はストロングビールなどが中心であるのは他の地域と同様であるが、ムンバイやプネといった大都市においては、お金さえ出せば外国のお酒は容易に入手できるし、インドで製造された酒の種類も多い。
ちなみに、マハラシュトラ州におけるインドワインやビールの値段は、銘柄にもよるが感覚的に日本と同程度、もしくは少し高いくらい。日印の物価の違いを考慮するとお酒は贅沢品であることがわかる。
個人的に、マハラーシュトラ州(ムンバイ・プネ)は、ゴア州とカルナータカ州(バンガロール)に次いでお酒の偏差値が高いと思う。(あくまでもインド国内において、という意味で)
ワイン
マハラシュトラ州にはインドワインの名産地
ナシークののスーラ・ヴィンヤードはもはやテーマパーク化した商業施設だという声もある。商品として出荷されるワインはもうナシークでは作られておらず、カルナータカ州で作られているらしい。
3年ほど前、インド人の友人とワインの話になって「インドといえばスーラだよね!」と話したところ、「今どきスーラ飲んでるの~???」と軽くバカにされたことがある。スーラ以外にも様々なブランドのインドワインが手に入るので新しい物好きのムンバイっ子たちは新興ブランドに興味をそそられるらしい。
友人に完全に同意はできないが、安いスーラワインは翌日頭が痛くなる。私の体質の問題かもしれないが、サトリやモザイクあたりは避けたい。ラサが好きだな。
ビール
ここ数年はムンバイにも店内で自家醸造のビールを提供するお店が増えており、コロナパンデミック前には私も好んで訪れていた。ベルギーやチェコ、ドイツを旅行して、すっかりこの手のビールの虜になってしまったのだ。
マイクロブルワリーというと間違いなくバンガロールがインドNo.1であるが、ムンバイやプネでも広がりつつある。バンガロールのように文化としてはまだ根付いていない感はあるが、これからもっともっと増えそうな予感。前述の通りムンバイっ子は新しいものがお好きなようなので。
お店で購入可能なビールの種類も、定番のキングフィッシャー、トゥボルグ、バドワイザー、ハイネケン、ビラなどに加えてユニークなものもちらほら。
これらインドビールはムンバイでは1本100ルピー~200ルピー(約150円~300円)で手に入るが、外国からの輸入ビールはべらぼうに高い。例えば、ヒューガルデンやコロナは1本500ルピー(約750円)もする。毎日飲むには高すぎるので、インドビールでビール欲を満たしていた。
長い一時帰国から戻ってきて久しぶりに行きつけの酒屋でビールを物色していると、店員が「姉さん、いいのありまっせ」と推してきたのがこれ👇
いやいや、ヒューガルデンもコロナも高いからやめとくよ。私は安いインドビールでいいんじゃい。
「実はこれ、インド製造なんすよ。2~3か月前から取り扱い始めました。」
なんと嬉しいニュース。一時帰国している間にヒューガルデンもコロナもインド製造のものが販売され始めていた。外国のお酒でもインド製造となると税金が安くなる。これまで500ルピー近くしていたものが190ルピーで入手できるようになった。
先に書いた通り、インドのお酒は州ごとにルールが異なる。マハラシュトラ州ではヒューガルデンもコロナも販売OKになったが、他の州でも売られているのかどうかが気になる。製造がカルナータカ州のようなので、バンガロールではきっと入手できるのだろう。
日本のお酒
ムンバイでは日本食レストランがブームになっている。欧米のそれに倣いそのほとんどが高級レストラン。日本人向けではなく、インド人富裕層向けの日本食レストラン、正確には「日本食インスパイア―ド」または「日本食フュージョン」の創作料理が一般的。
欧米の日本食レストランに訪れた欧米帰りのセレブたち向けで、オーセンティックな和食を求める人は少ないと思われる。
ガイコクジンの特権を利用し、私もこういうレストランに訪れることがあるのだが(普段は屋台でパニプリ食べている)、客層が良すぎて場違い感を覚える。
ムンバイのセレブ達が訪れる店ということもあり、日本のお酒も置いていた。どれどれ、メニューを見てみようではないか。
梅酒や焼酎はまだいいとして(60mlで約1000円…高すぎるがどうしても飲みたくなったら頼めるレベル)、日本酒の値付けがなかなか法外で興味深い。
純米大吟醸はたった300mlで2万円以上…!一番高いのは加賀鷹、300mlで約2万5,000円。とんでもないセレブ価格である。
月桂冠の特別酒300mlは6500ルピー(約1万円)もする…信じられない。唯一頼めそうなのは、白鶴のホワイトクレーン純米吟醸5200ルピー(約8,000円)くらいか…
日本での価値を知っている分、とてもじゃないがここで日本酒を頼みたいと思わない。それでもBetter than nothingであることは間違いない。
どうしようもなく日本酒が飲みたくて飲みたくてしかたがないとき、ここに来れば飲めるのだ。飲める場所があるだけありがたいことだ。少し前まではインドで日本酒は極めて入手困難であったわけだから、ないよりはあった方が精神的には安心する。
オンラインオーダー
コロナ当初のロックダウン時、生活必需品以外の店舗は全てクローズした。お酒は生活必需品ではないとしてリカーショップ(酒屋さん)もクローズし、全インドの酒飲みは泣いた。
ロックダウンが徐々に緩和され酒屋が再開するとお酒を求めて多くの人が酒屋に列をなし「密」となった。こりゃーよくないぞ~~~ということで、マハラシュトラ州はこれまで許されていなかった「お酒のオンライン販売・配達」を認めた。
これまでも行きつけの酒屋に電話で注文して配達してもらってはいたが、オンラインで注文できるのは利便性増し増し。
電話越しでの注文となると、あのワインある?ないの?そしたらあれは?いくら?、、、というようなやり取りが発生するが、オンライン注文であればそんな煩わしさからも解放される。
現在お酒のオンライン注文・配達を許可しているのは一部の州に限られており、マハラシュトラ州ムンバイはインドの一大感染地域ということもあって許可されたのかしら。コロナが収束してもオンライン酒販売が継続するかは不明だが、なんとなく継続するような気がする。
実際に私もお酒を注文してみたが、特に年齢確認などもなかったのが気になったポイント。未成年の子が頼んでも届いちゃうよこれ、、、と思うなど。
ちなみに私が頼んだのはこれ。マイクロブルワリーレストランのDoolallyから注文。
コロナパンデミック前には通っていたので、ここのビールがオンライン注文・配達に対応していると知った時は非常にうれしかった。お店までわざわざ行かなくてもここのビールが飲めるだなんて!
フードも一緒に注文できたので、ピザも注文。おうち時間の質が爆上がりである。
さいごに
インドはお酒に対して保守的であるが、その中ではムンバイは健闘している方だと思うんだ、ということをつらつらと思うがままに書いた結果、まとまりのないエントリーとなってしまった。
ムンバイはお酒の種類が豊富で、オンライン注文・配達もできて便利で、インドの中では呑兵衛には比較的優しい都市ですよ~ということを、ただそれだけを伝えたかった。(ゴアとバンガロールには劣る)
以上!!!
【おまけ】南インド タミル・ナードゥ州、チダムバラムの酒屋 VS ムンバイの酒屋(あまりにも両極端)
▼チダンバラムの酒屋の前でたむろする男たち
▼ムンバイのビール専門店
ムンバイは都会やぁ~…。
最後までお読みいただき有難うございました♪
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