ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
先日1月19日(日)、ムンバイマラソンに参加した。実はインドに住み始めてから毎年参加しており、今回は4回目の出場。1回目はフルマラソン(人生初)、2回目以降はハーフマラソンに出場している。1回目に参加した人生初のフルマラソンがあまりにも辛すぎたので、それ以降はハーフマラソンに逃げているということになる。(練習不足←)
インド在住でランニングが趣味の方には非常にオススメの大会なので、「TATA Mumbai Marathon 2020」について振り返ってみま~す!
▼目次はこちら (クリックして表示)
ムンバイマラソンとは?
(画像は大会公式HPより拝借)
ムンバイマラソンは、インド最大のマラソン大会であり、アジア最大級のマラソン大会でもある。インド国内のマラソン大会では賞金が最も高額で、アフリカ勢をはじめとする招待選手もズラリ。
毎年1月第3週の日曜日に開催され、今年は2020年1月19日(日)に行われた。
参加者は年々増加し、今年は大会全体で5万5000人以上が参加。世界のランニングイベント参加者ランキングでも毎年上位にランクインする。
ロンドンマラソンを参考に、2004年から開催されており、今年2020年は17回目の開催。
スポンサーは2018年よりTata Consultancy Services(タタ・コンサルタンシー・サービシズ)。通称TCS(ティーシーエス)と呼ばれる同社はインド最大の財閥、タタ財閥の中核企業。ちなみに、タタ財閥とは日本でいうところの旧三菱財閥のようなポジション。2004年から2017年まではStandard Chartered Bank(スタンダードチャータードバンク)が主催していた。スタチャーといえば、参加者数アジア最大の香港マラソンをはじめ、世界各地でマラソン大会のスポンサーをつとめていることで有名。
レースカテゴリと申込者数
レースカテゴリは以下の6つ。申込者数は大会公式HPにて確認した。参加費のカッコ内USDはインド国外から申し込みをした場合の金額。
- フルマラソン(42.195km)
…申込者数:9,660人
…参加費 :2,300ルピー(USD 50)
…過去18か月以内のフル or 25km or ハーフの公式記録が必要 - ハーフマラソン(21.097km)
…申込者数:1万5,260人
…参加費 :2,000ルピー(USD 50)
…"過去18か月以内のフル or 25km or ハーフ or 10kmの公式記録が必要 - Open 10km Run(10km)
…申込者数:8,032人
…参加費 :1,400ルピー(USD 45) - Dream Run(5.9km)
…申込者数:1万9,707人
…参加費 :900ルピー(USD 30) - Senior Citizen’s Run(4.3km)
※60歳以上のシニア向け
…申込者数:1,022人
…参加費 :350ルピー(USD 15) - Champions with Disability(2.4km)
※からだに障害がある方向け
…申込者数:1,596人
…参加費 :350ルピー(USD 15)
ハーフマラソンとドリームランが人気。
ドリームランというのは、「ラン」という名称であるが実際にランする人はほとんどおらず、職場の同僚や友人、家族などのグループでお揃いのTシャツなんかを着て参加して、みんなでゆっくり走ったり歩いたりして大会の雰囲気を味わうことに重きを置いているひとがほとんど。サリーを着たおばあちゃんとお孫さんが一緒にゆっくり歩いていたりする姿を見るとほっこりする。
ハーフマラソンとドリームランの2つのカテゴリで参加者数の大部分を占めており、大会全体の参加者数はアジア最大級であるが、「フルマラソン」の参加者だけで見れば他国の代表的な大会とはまだまだ大きな差がある状況。
参考までに、アジアの規模の大きいマラソン大会の参加者(または定員数)を見てみる。
フルマラソンに2万2,500人、ハーフマラソンに1万9,500人、10kmに3万3,000人、合計約7万5,000人が参加。
東京マラソン(2019年3月)
フルマラソンに3万7,000人、10kmに500人、合計3万7,500人が参加。
上海国際マラソン(2019年11月)
フルマラソンに2万5,000人、10kmに6,000人、5.5kmに7,000人、合計3万8,000人が参加。
シンガポールマラソン(2019年12月)
フルマラソンに1万2,000人、ハーフに1万3,000人、10kmに1万5,000人、5kmに8,000人、合計4万8,000人が参加。
これらの大会は参加者数に定員があり抽選なのに対し、ムンバイマラソンは抽選なし、「走りたい人」は、申し込めば誰でも走れちゃう(フルとハーフは過去の公式記録が必要だが)。
とはいっても、インドでは近年ランニング人口が急増しており、ムンバイマラソンも今年の参加者数は過去最高を更新しており、「走りたい人」は増え続けている。
ムンバイマラソン参加者数の推移(2010~2020)
ここで、2010年~2020年のムンバイマラソン参加者数の推移をまとめてみた。
(※スマホだと小さくて見づらいと思うので画面をズームして見てください。)
この10年間で、ドリームランの参加者はほぼ変わらないが、ハーフマラソンは約40%増、フルマラソンは約180%増。この勢いだと、来年にはフル参加者数が1万人を超えて、シンガポールマラソンのフル参加者数を上回るかもしれない。
2018年から始まった10kmは、昨年2019年の2516人→8032人、220%も増えている。ランニングを始めたばかりの人には10kmは気軽で参加のハードルが低くてよいね。
「走りたい人」が増え続けている=スポーツに時間やお金を割く人が多くなってきているということ。それだけインド人の生活が豊かになってきているということなので、来年の参加者数も今からひそかに楽しみ。
デリーハーフマラソンの振り返り記事でも、インドのランニング人口が増加している(インドは、過去10年でフルマラソン参加者は230%増、国別では全世界No.1の増加率)というトピックを取り上げているので、あわせて読んでみてネ。
Bib受け取り(前日)
ビブピックアップの会場は、金融都市ムンバイが誇る金融街、BKC(Bandra Kurla Complex)の特設会場。
▼後ろに映りこむビル群が新興国の金融街感満載。
▼ビブ受取会場の内部はこんな感じ。スポンサー企業のTCSのコーポレートカラーの青色で統一。#BE BETTERが大会スローガン。
The BEST ではなく BETTERってところがなんか弱気な気がするのは私だけ?
▼写真スポットもあるので、もちろん撮ってきた。
ビブ番号からデータベースにアクセスして、これまでの出場回数や、自己ベスト記録などを表示してくれる。写真撮影専門の係りの人がいるので、一人でも安心w
ムンバイマラソン当日
スタートは5時15分。早すぎだろ~!これまで参加した4回のうちで、一番朝早かった。
ハーフマラソンのみスタート場所が異なり、「Worli Dairy」という場所からスタート。それ以外のカテゴリは、世界遺産のCST駅からのスタート。
私は寝坊したのでスタート時間ギリギリにスタート地点に到着。おかげでスタート前から人間渋滞。
▼ハーフマラソンのスタート地点はこちら
▼スタート前の様子はこんな感じ。
スタートから1kmほど走ると、早速シーリンクのおでまし。
シーリンク
ムンバイマラソン最大の魅力のひとつが、「Bandra-Worli Sealink(通称シーリンク)」という有料高速道路を走れること。
シーリンクは2010年3月に開通した海の上を走る高速道路で、バンドラ地区と南ムンバイの入り口ウォーリーを結ぶ片道5.6kmの斜張橋。
私は個人的に「インドのレインボーブリッジ」と呼んでいるが、それぐらいムンバイのシンボルとなっている橋なのだ。
シーリンクがコースに含まれているのはハーフマラソンとフルマラソンのみ。シーリンクを走ってみたい!という人はハーフマラソン以上の参加必須💡
車で走っていると気付かないが、ウォーリー側→バンドラ側にかけて緩やかな傾斜がかかっており、微妙に辛い。ウォーリー側→バンドラ側(折り返し)バンドラ側→ウォーリー側へ、往復約11km走って、またウォーリー側に戻る。
至れり尽くせりのサービス
感覚的に1~2km毎になにかしらのサービス(給水所、スポーツドリンク、オレンジコーナーなど)がある。後半になると、冷却スプレーをかけてくれたり、水を含ませたスポンジが配られたり、水ミストシャワーのトンネルが用意されていたりと、完走するために至れり尽くせりのサービスが満載。
こんなに優しい大会って、ムンバイマラソンくらいなんじゃないのかなぁ…。
▼ハーフマラソンの地点ごとのファシリティ一覧。
下町(スラム系)~高級住宅街を走る
ムンバイマラソンのコースは、シーリンクを除いて南ムンバイ。南ムンバイ(South Bombay)はSOHOを真似して「SOBO」なんで言われちゃったりするほど、ムンバイでかなりイケてるエリア。おそらくインドで最も地価が高い、富裕層エリアなのだ。
そんな南ムンバイにも、もちろん下町はあるわけで、下町エリアでは、沿道で下町っ子達が声援を送ってくれる。(または応援の仕方が分からなくて突っ立っているだけの場合もある)。
(※疲れており写真を撮る余裕がなかったため、下町エリアの写真はない…。)
下町エリアを抜けるとそこからは富裕層エリア。海外の文化にも慣れ親しんだイケてる方々が頑張れ~と応援してくれる。ビスケットやバナナ、塩などを差し入れしてくれる人も多い。
▼沿道からの差し入れや応援の様子。
写真の奥に見える変な形の建物は、インド最大の民間企業リライアンス・インダストリーズ会長ムケッシュ・アンバニのお家(アンティリア)。世界で最も高級な個人宅と言われている。
南に向かって走ると、マリーンドライブと呼ばれる、海沿いに出る。ここまで来ればゴールはもう少し♪
ゴール後
ゴール!!!
昨年までは、ハーフマラソンのゴールは世界遺産のCST駅だったのだが、今年はスポンサー企業のTCS本社の近くの特になんでもないところだった…。まじかよ…。ハーフマラソン以外はCST駅がゴール。
運営側のミスによる混雑
ハーフマラソンゴール後は、人間渋滞が発生していた。
どうやら、事務局側が参加者数増加にきちんと対応できておらず、十分な数のメダルをゴール地点に用意できていなかったようで、ゴールした人たちはメダルが届くまで待機しなければいけない状況が発生していた。
これにはインド人たちもブチ切れており、みんな文句を言っていた。そんな中、笑顔をキープしている男性がおり「笑顔を崩したらせっかく完走したのに嫌な気持ちになるからね」と言っており、デキた人だなぁと感心した。もちろん私は他のインド人と一緒にブーブーと文句を垂れる側の人間である。
無事メダルが届くも、文句は絶えず、「来年からはタタじゃなくてリライアンスがスポンサーか?」「せっかく完走したのにこんな扱い信じられない!」としばらくの間クレームは絶えなかった。うん、確かに運営はイケてなかったね。
ストレッチしてもらえる
メダルを受け取ると、リフレッシュゾーンがあるので、そこでストレッチをしてもらえる。ここでも至れり尽くせり。
もちろん写真撮影コーナーもある
最後にセルフィーゾーンで記念撮影をして終了。なんとね、写真を撮ってくれる人まで配置されてるんですよ。至れり尽くせり具合やばみ。
右側の猿は、インドのクラフトビール「Bira 91(ビラ)」のキャラクターの猿。同社もムンバイマラソンのスポンサーだったのだ。インドのビールといえばキングフィッシャーだったのは一昔前の話だ。ここ数年はビラがあついぞ!インドにもクラフトビールブーム到来。
帰宅
腹ペコだったので、会場を出たところにある屋台街でチキンシャワルマ(60ルピー)を食べて腹ごしらえ。完走後の腹ペコさん達で非常ににぎわっていた。
お腹を満たして電車で帰宅。ゴール地点はCST駅(セントラルライン)とチャーチゲート駅(ウエスタンライン)の中間にあるが、ゴール後は未だ交通規制で道路が閉鎖されていると思うので電車で帰るのが一番早い。
さいごに
ムンバイマラソンの特徴は以下の通り。
- 抽選がない
- フルマラソンはCST駅(世界遺産)がスタートとゴール
- ムンバイのシンボルであるシーリンクを走れる
- 応援してくれる人たちとの距離が近くムンバイの人たちの温かみを感じられる
- 何から何まで至れり尽くせり系
インド好きの人を除いて、日本からわざわざ参加するほどではないと思うが、インドに住んでいるなら一度は出たら楽しいんじゃないかなぁと思います💡 特にムンバイに住んでいるなら、シーリンクを走れるのはいい記念になるはず(ᐢ◡ᐢ*)✨
私は今回もハーフマラソンに参加したが、やはりムンバイマラソンはフルに出るのが一番楽しい&ムンバイ人の温かみを感じられると思うので、来年こそは、ちゃんと練習してフルに出ようかなぁ…。昔一度フルマラソンで辛い目にあったので非常に迷うところだけど…。
おしまい。