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【雑学】インドにカレーという食べ物は存在しない ~カレーの歴史~

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インドゆるゆる生活

タイトル画像(【雑学】インドにカレーという食べ物は存在しない ~カレーの歴史~)

ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。

ここ数年、日本では「インドカレー」がブームとなっている。インドカレー屋は増え続け、スーパーでは本場インドカレーやスパイスのコーナーが設けられ、インド好きにはうれしい流れだ。

しかし、インドに「カレー」という食べ物は存在しない。

外国人がカレーだと思っているものはカレーではない。

インド人は3食カレーを食べている
インドはカレーの国
本場インドカレー

これらの表現は正しくない。だってカレーは存在しないんですもの…。

カレーの歴史を見れば、なぜインドにカレーが存在しないのかが分かるぞ!

ということで、カレーの歴史についてまとめたので、暇つぶしにどうぞ。

この記事はこんな人にオススメ
  • 雑学好きの人
  • カレー好きの人
  • インド在住・旅行者

日本のカレーの歴史

まずは、日本の「カレー」の歴史について見ていこう。

日本で現在食べられているカレーは茶色くてトロ~っとしているもの。

▼こんなやつですね。
日本のカレー

カレーは進化を続け、カレーパンやカレーうどん、スープカレー等々…日々の生活で「カレー」と名のつくものが登場しないことはない。

札幌のスープカレー
道産子にはおなじみのスープカレー。大泉洋さんが流行らせました。

日本人とカレーの出会い

カレーを嫌いな日本人なんていないはず…

しかし、江戸時代に初めてカレーを見た日本人はそのようには思わなかったようだ。

1863年
遣欧使節の三宅秀が船上でカレーに出会う。
幕末の混乱をおさめるため、フランスのナポレオン3世に助力を求めようと派遣された遣欧使節団のひとり三宅秀が、乗り合わせたインド人の食事風景を以下の通り記しています。

「飯の上にトウガラシ細味に致し、芋のドロドロのような物をかけ、これを手にてかきまわして手づかみで食す。至って汚き物なり

カレーの日本史

手づかみで食すことに対して汚いと大批判している。

明治3年、初めてカレーを食べた日本人も、美味しいとは思わなかったご様子。

1870年
会津白虎隊の一員であった山川健次郎がカレーライスと出会う。

最初にカレーを食べた日本人として記録されているのは、会津藩白虎隊の一員であった山川健次郎という、当時16歳の少年でした。渡米する船内でカレーライスなるものに出会い見慣れない食べ物であったカレーを食べる気になれず、ライスのみを食べたとも言われています。

カレーの日本史

当時の日本人はスーパーコンサバだったようだ。そりゃ鎖国があけてすぐだからそうだろうけど。

ゲテモノ扱いされていたカレーであるが、明治5年に初めて、そのレシピが日本に持ち込まれる。

1872年
料理書『西洋料理指南』に、日本で初めてカレーの調理法が紹介される。

この本の中で紹介されているカレーの調理法では、赤ガエルを具材として紹介しています。 「細かく切ったネギやしょうがなどをバターで炒め、水を加えて鶏肉、えび、赤ガエル等を入れて煮込み、さらにカレー粉を加えて煮込んだら、塩で味を調えて最後に水溶き片栗粉でとろみをつける」また同時期に刊行された『西洋料理通』でもカレーの調理法が紹介されています。

カレーの日本史

とてもじゃないが、美味しいそうとは思えないレシピだ。赤ガエルを入れるだなんて、まるで闇鍋のよう、マズそうである。当初は本当にゲテモノだったのかもしれない。

なぜ肉ではなく赤ガエル?

当時の日本はまだ宗教色が強く、4つ足の動物は食べないという風習があり、豚や牛を用いる代わりに赤ガエルが使われた。

西洋の高級料理としてのカレー

明治初期、イギリスの「C&B Curry Powder」というカレー粉と、イギリス流の「Curry」が日本にやってきた。

イギリス流Curryはスパイスに小麦粉でトロミを付けたルウにライスを合わせたもので、お米を主食とする日本人には抵抗なく受け入れられた。

明治9年、北大の寮の食事にカレーライスが登場。1日おきにカレーが出されていたらしい。

1876年
札幌農学校開校(現在の北海道大学)。寮の食堂メニューにライスカレーが登場。

「Boys,be ambitious!」の名言で有名なクラーク博士が、生徒たちの体格の貧弱さを憂い、米飯偏重の食事からパン食への転換を提唱し「生徒は米飯を食すべからず。但し、ライスカレーはその限りに非ず」として推奨したとも言われています。

カレーの日本史

明治10年、東京のフランス料理店、米津凮月堂(現・風月堂)にて、オムライスやビフテキと並ぶ目玉商品としてカレーを販売。カレー粉は輸入モノということで、当時のカレーは上流階級の食べ物であった。

1877年
東京の食堂「風月堂」にライスカレーが登場。

もりそば1杯1銭ほどだった当時、風月堂ではカレー1皿8銭で提供されていたそうです。

カレーの日本史

日式カレーの誕生

日本でカレー人気が高まってくると、漢方のお薬屋さんが「国産カレー粉」の製造を開始。

カレー粉の原料のスパイスは漢方で用いる薬の原料と同じ。例えば、ターメリックはうこん、クローブは丁子(ちょうじ)、カルダモンは小木菟(しょうずく)等々。

日本で初めてのカレー粉を作ったのは今村弥(現・ハチ食品)。「洋風どんぶりがうち(自宅)でも作れまっせ!」というキャッチコピーで人気を集めた。

1903年 明治36年
二代目“今村弥兵衛”時代
鬱金粉(ウコン粉)が第五回内國勧業博覧會に於いて有功褒賞を獲得
その後、鬱金粉を主原料とし、カレー粉製造を始める

1905年 明治38年
日本で初めてカレー粉を国産化「蜂カレー」として売り出す同時に香辛料の取扱いを始める

ハチ食品 企業沿革

明治37年、日露戦争が勃発。カレーは「調理が簡単」「栄養バランスが良い」ということで軍隊のメニューに採用された。兵士たちはカレーの作り方を学び、野営でカレーを作っていたという。具材は、腐りにくい玉ねぎ、じゃがいも、ニンジンが使われた。

戦争終了後に元兵士たちが家でカレーを作ったり、昭和初期には軍隊と同様の理由で学校給食にも採用されたことで、カレーは高級食から国民食として、一般家庭に浸透し始める。

戦後には各食品メーカーがこぞってカレールウを販売。ラジオやテレビにCMを打ち出し、カレーは国民食として不動の存在に。

▼昭和34年(現存する最古)~昭和61年までの食品メーカーのカレーCM。地味に面白い。

エスビー食品のCMで採用された「インド人もびっくり」というキャッチコピーは非常に有名。

商品名に「インド(印度)」とつくものも多く、「カレーはインド発祥のもの」というイメージが根付く。

今に至る。

カレーの歴史

イギリスの「Curry」が西洋料理として日本に伝わり、「カレー」は独自の進化を遂げて日本の国民食となった。

インドカレーブーム

Curryはイギリス人が生み出したもの

明治初期にイギリスのカレー粉とCurryが日本にやってきたと書いたが、イギリス式のCurryはどのようにして生まれたのだろうか。

イギリスの「Curry」の歴史について見ていこう。

Curryの起源

「Curry」という名の起源はいくつかあるが、最も有力と言われているのが、タミル語(南インドで話されている言語)の「Kari(カリ)」という言葉が起源という説。

1498年、ポルトガル人が当時貴重であったブラックペッパー等のスパイスを求めてインドの西海岸にわたり、1510年には植民地としてゴア等を手に入れた。

ポルトガル人が、現地の人に「これは何?」と彼らの食事について尋ねたところ、「カリだよ」と返ってきたそうな。

「Kari(カリ)」はタミル語で「汁物、ソース、たれ」という意味

この言葉を元に、ポルトガル人は

スパイシーな汁、またはグレイビー」のことを「Carel(カレル)」と呼ぶようになった。

Curryの誕生

イギリスもインドに進出し、東インド会社を設立。

ポルトガル人が「Curel(カレル)」と呼んでいたものを、イギリス人は彼らの発音で「Curry(カリ―)」と呼ぶようになった。

スパイシーな汁、またはグレイビーであったCurelは、イギリス人が食べやすいようにアレンジされた。小麦粉でとろみをつけてシチュー風にアレンジされたCurryは「スパイスが効いた煮込み料理」を意味するように なる。

\Curry 爆誕/

これが、私たちが「カレー」と呼んでいるものの原形である。

Curry Powderの誕生

1772年、のちの初代ベンガル総督、ウォーレン・ヘイスティングズがCurryの原料となるスパイスと米をイギリスに持ち帰り、ビクトリア女王に献上したという記録がある。

当時のイギリス人官僚たちやネイボッブにとって、イギリスに帰った際にCurry(イギリス流のスパイスが効いた煮込み料理)をおもてなしすることは、ステータスだったという。

ネイボッブ(Nabob):一攫千金を目指してインドに渡り、成功して財をなしイギリスに戻ってきたインド成金のこと。

18世紀初頭、貴族や官僚、ネイボッブのおもてなしパーティーの宴会を請け負っていたのだが、クロス・アンド・ブラックウェル社。同社はスパイスをミックスする手間を省くため、あらかじめ多種類のスパイスを調合したものを用意していた。

\Curry Powder 爆誕/

この混合スパイスを「C&B Curry Powder」として一般向けに販売したところ大評判となった。

冷蔵庫がない時代、お肉の鮮度を保つのは難しく、お肉の鮮度が落ちると臭みがでてしまうことは主婦の悩みのひとつだった。しかし、スパイスが効いたCurry Powderと一緒にお肉を煮込むことで、鮮度の悪いお肉でも臭みを気にせずに美味しく食べられると、重宝されたのだ。

イギリスの一般家庭でCurryはよく作られるようになり、家庭料理のひとつに数えられるまでに普及したという。

1810年には、オックスフォード英語辞書に「Curry Powder」が登場しているという記録があり、この頃にはすでにCurry Powder が一般に浸透していたことを示している。

この当時、イギリスで作られていたCurryの特徴は以下の通り。

  • Curry Powder を使う
  • カレー粉をだし汁・水と同時に加える
    (スパイスの扱いがわかっていない)
  • 小麦粉でトロミを付ける
    (シチューでとろみを付けるやり方)

インドで食べられているものとは作り方が大きく異なっているが、これが「Curry」であるとされていた。

世界中に広まったCurry

イギリスの「Curry」と「Curry Powder」は、イギリス植民地をはじめとする世界各国に広まった。

アジア

1780年、東インド会社がベンガル地方のアヘン専売権を獲得すると、清(中国)への本格的な輸出に乗り出した。インド亜大陸と中国を結ぶ中継点としてマレーシアのペナン島、マラッカ、シンガポールを「海峡植民地」とした。

アヘンを密輸する際、Curry Powderも一緒に送られたので、東南アジアにCurryが広まったとされる。

マレーシア・インドネシア
  • サンバル・ゴレン(カレー煮)
  • イカン・グライ(魚のカレー煮)
タイ
  • ゲーン・キョワン(野菜カレー)
  • ゲーン・カリー・ガイ(チキンカレー)

マレーシアのサンバル・ゴレン・トゥルー
マレーシア・インドネシアのサンバル・ゴレン・トゥルー(卵のカレー煮込み)(Pinterestより)

タイのゲーン・カリー・ガイ
タイのゲーン・カリー・ガイ(チキンカレー)(Pinterestより)

アフリカ

1883年、奴隷制度廃止法が成立し、イギリスの植民地における奴隷制度が違法とされた。それに伴い、アフリカ各地の植民地のプランテーションで働いていた黒人奴隷が解放され、労働力不足が起こり、多くの150万人以上のインド人が長期契約労働(ひどい契約内容)でアフリカのモーリシャスやガイアナ、南アフリカに渡った。

インド人をアフリカに送る際、Curry Powderも一緒に送られ、アフリカにもCurryが広まったとされる。

アフリカの伝統料理って、もともとがカレーっぽい感じもするけどね。

日本

上に述べた通り、明治時代に日本に渡った。

イギリスの旧植民地以外でこんなにもカレーが食べられているのは日本だけでは?😂

カレーの歴史

タミル語の「Kari(カリ)

Carerl(カレル)」としてポルトガル人に伝わる

イギリス人が「Curry(カリ―)」と発音

イギリス人が食べやすいように「Curry」はシチューのようなとろみをつけたスパイスの効いた煮込み料理に姿を変えた。

イギリスの「Curry」が西洋料理として日本に伝わり、「カレー」は独自の進化を遂げて日本の国民食となった。

インドカレーブーム

インド人が食べてるカレーっぽいあれは一体何?

Curry」はイギリス人が作り出した西洋料理ということが分かった。

インド人が食べているものはカレーでもCurryでもない。一体あの食べ物は何なのか。

インドの色々なメニューの名前

▼これは何?
Paneer Butter Masala(パニール・バター・マサラ)

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Paneer Butter Masala
パニール・バター・マサラ

スパイスとバターの風味いっぱいのマイルドなグレイビー(ソース)にパニール(インドのチーズ)を混ぜ合わせたもの。

▼これは何?
Mashroom Masala(マッシュルーム・マサラ)

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Mashroom Masala
マッシュルーム・マサラ

スパイスをミックスさせて作ったマサラのグレイビー(ソース)にマッシュルームを混ぜ合わせたもの。

▼これは何?
Chaa Gosht(チャー・ゴーシュット)

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Chaa Gosht
チャー・ゴーシュット

ヒマチャル・プラデーシュ州の名物料理。マトン(山羊肉)が入ったまろやかなグレイビー(ソース)。

▼これは何?
Beef Xacuti(ビーフ・シャクティ―)

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Beef Xacuti
ビーフ・シャクティー

ゴアの名物料理。インドでは禁断の牛さまを使ったココナッツ感ただよいつつもスパイシーなグレイビー(ソース)。

▼これは何?
Mutton Nehari(マトン・ニハリ)

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Mutton Nehari
マトン・ニハリ

ラクナウの名物料理。マトン(山羊肉)のだしが効いたシチュー。

▼これは何?
Aloo Matar(アルー・マタル)

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Aloo Matar
アルー・マタル

Aloo=じゃがいも、Matar=グリンピース。その名の通り、じゃがいもとグリーンピースを使った、トマトベースの定番メニュー。

▼これは何?
Aloo Gobi(アル―・ゴビ)

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Aloo Gobi
アルー・ゴビ

Aloo=じゃがいも、Gobi=カリフラワー。その名の通り、じゃがいもとカリフラワーを使った、炒め物の定番メニュー。

▼これは何?
Sambar(サンバール)

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(左)Idli イドゥリ
(中・赤色)Sambar サンバール
(中・緑色)Green Chutney パクチーのチャツネ
(右)Dosa ドーサ

南インドの朝ごはん、軽食の定番メニュー。米と豆を練って発酵させた生地を蒸したものがイドゥリ、薄く伸ばして焼いたものがドーサ。サンバールはタマリンドとレンズマメから作るスープ状のもの。

▼これは何?
Thali(ターリー)

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Thali
ターリー

ドライなものから、ソース状のものまで、さまざまなおかずと主食のチャパティー・お米をひとつの大皿にまとめた定食セット。

▼これは何?
Gujarati Thali(グジャラーティー・ターリー)

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Gujarati Thali
グジャラーティー・ターリー

グジャラート州名物のおかずセット。それぞれのおかずの調理にジャグリーと呼ばれるキビ砂糖を使っており、甘いのが特徴。

見てわかる通り、インドにカレーという食べ物は存在しないのだ。

それぞれに名前があり、調理方法が異なり、全く違う食べ物なのだ。

日本の料理に例えるならば、出汁(だし)を使った料理が全部同じであるわけがない。

醤油を使った料理が全部同じであるわけがない。

スパイスを使ったインドの料理も、全部同じであるわけがないのだ。

とは言いつつも、Curry という言葉は逆輸入されているので、外国人が来るようなレストランでは、メニューに「Curry」と書かれている。

しかし、インド料理好きとしては、インドのスパイシーな料理をCurry(カレー)というイギリス人が作り出した言葉でひとくくりにするのは「なんかな~」とモヤモヤするし、現地の人もカレーと言わないので、できる限り「インド料理」と言うように心がけている(自己満の極み)

カレーの歴史

タミル語の「Kari(カリ)」

「Carel(カレル)」としてポルトガル人に伝わる

イギリスが「Curry(カリ―)」と発音

イギリス人が食べやすいように「Curry」はシチューのようなとろみをつけた煮込み料理に姿を変えた。

イギリスの「Curry」が西洋料理として日本に伝わり、「カレー」は独自の進化を遂げて日本の国民食となった。

インドカレーブーム

\インドにカレーは存在しない/

さいごに

カレーはイギリス人が生み出したもので、インドには存在しないということが分かった。

日々の生活ではイギリス式のカレーを楽しみつつ、それとは別のものとしてインド料理を楽しめば、これまでとは違った目線でインド料理を見ることができるのではないだろうか。これまでは感じることのなかったであろう、スパイスのアロマと奥深さを感じ、どんハマりすることでしょう…ふぉっふぉっふぉっ...

「インドカレーは辛い!」と思っているあなた。それはインドの料理を「カレー」とひとくくりにしているからそう思うだけで、別に辛くない料理もたくさんある。

「カレー」という言葉は非常に便利なので、「インドカレー」という言葉を使いつつも、日頃で食べているカレーとは全くの別物、似て非なるものだよ、ということを頭の片隅に置いておけば、カレーの世界が広がるはず。

インドに住んでいる人は、このお話を雑学として知っておけば、日本からだれかが来たときの話のネタになるので、意外と役に立つyo😂

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インド料理を楽しもう♪



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