
ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
インド国内で転職をしたので、西インドのムンバイから、北インドのグルガオンに引っ越すことになった。
距離は約1,400km、仙台市 (宮城)ー下関市 (山口) 間の距離に匹敵する。
5年前の2016年3月、私は大きなスーツケース2つと段ボール数箱を抱えてムンバイにやって来た。ムンバイでの5年間の思い出と同じ分だけモノも増え、以前のようにハンドキャリーで運ぶには不可能な量にまで増大した。
私は現地採用なので駐在員のように会社が引越し費用を負担してくれるわけではなく全額自己負担だ。そのため、日系の引越し業者よりもリーズナブルなインドの業者を利用して引越しをすることにした。
インド国内でローカル業者を使って都市間をまたぐ長距離の引越しをする日本人はあまりいないのではないかと思い、備忘録も兼ねて記事にする。
業者の選定・見積り、出発地(ムンバイ)での梱包と荷積みについて。
▼目次はこちら (クリックして表示)
今回の引越しのスペック
出発地 ムンバイ
到着地 グルガオン(約1,400km)
家具・家電 パソコン用デスクと椅子、OTG(オーブントースターグリル)
(家具付きアパートに住んでいるため、私が所有している家具家電はほぼないに等しい)
その他 服大量、靴大量、鞄大量、雑貨大量、食器大量
(一人暮らしの量ではない)
倉庫 2~3週間利用
インドでは一人暮らしがあまりメジャーではないためファミリー向けの物件が多い。私がムンバイで借りていたアパートも2BHK(日本の2LDKに相当)で収納が豊富だった。
インドには可愛いアイテムが溢れていて物欲崩壊必須であることは周知の事実である。家の収納に余裕があれば、衣服や雑貨が制限なく増え続けてしまうのは仕方のないことだろう(と自分を最大限に肯定してみる)。食器やカトラリーもファミリー向けにセット販売されており、ひとり分しか必要ないのに4~6人分買わなければいけないこともしばしば。
気が付けばモノが増え続け、一人暮らしとは思えぬ量のモノで溢れていた。引越しを機に断捨離をしようと思い、不要なものは捨てたり譲ったり売ったりしたが、それでもモノが多い…。そう、モノが多い…。
引越し先の都市はグルガオンと決まっているが、グルガオンでどのアパートに住むかはまだ決まっていない。そのためアパートが決まるまでは荷物を倉庫に保管してもらう必要があった。
業者の選定
駐在員の場合は日通やヤマト運輸といった日系の引越し業者を使うのが一般的だろう。日系なので、日本人が最低限満足できるクオリティは保証されていて、その分料金もかなりお高めに設定されている。(個人的にはちょっとボッタクリなんじゃないかと思ったり)
日系業者と同等またはそれ以上のサービスを適正価格で提供してくれる引越し業者を探すため、私はグーグル先生に助けを求めた。
まずは大手引越し業者の調査。日本でいう「アート引越センター」や「サカイ引越センター」的なポジションに君臨する業者であれば、それなりのサービスの質を期待できそうである。
「Agarwal Packers And Movers Ltd.(APML)」という会社がインドでは引越し業者の大手のひとつだということが判明したので見積もりを依頼。APML社に加え、大手2社+テック系の新参の業者2社、合計5社に見積もりを頼んだ。
偽業者にご注意!
どこからか私の連絡先が漏洩したようで、見積もりを依頼した記憶のない業者から電話がかかってきて若干カオスな状態に陥った。
その中でもAgarwal Fast Packers And Movers(偽物①)とAgarwals Packers And Movers(偽物②)という会社には振り回されてしまった。というのも、これらの会社はAPML社を装った全く別の会社である。
「
特に偽物①に関してはロゴもかなり似せており、見積書にも悪意が感じられる。
これら2社から見積を受領して本家ではないと気づいたので「APML社のFakeですよね?」と指摘したところ、「世の中には『Agarwal』から始まる名前の企業が数多く存在する」と
ちなみにDHL風の業者もたまたま発見した。大企業のブランド力にあやかろうとするだなんて、不誠実極まりない。
DHLってインドで引越し業もやってるんだぁ!と思ったら微妙に違ったw pic.twitter.com/h8UGPk3MN6
— ᴷₒᴹₑ🇮🇳 मुम्बई में🕉️ (@chankomeppy) April 5, 2021
見積り
偽業者にひっかかりそうになりながらも、何とか抜け出して当初依頼した5社に見積もりを出してもらう。
APMLと大手2社は、スタッフが自宅を訪問して荷物の量を実際に確認後に見積りを作成するのが通常時の流れであるそうだが、コロナ第2波が直撃中だったので訪問はなし。メールでインベントリーリスト(エクセル)を送付し、見積もりを作成してもらった。
テック系の2社は、1社がShiftKarado、もう1社がHappyLocateという会社。アプリ又はウェブサイト上で家具・家電や各種アイテムの個数を選択してインベントリーリストを作成・提出すると見積りが作成される仕組み。
私の場合は到着地の住所がまだ決まっておらず倉庫を利用する必要があったのでウェブサイト上だけで見積りを作成できず、ワッツアップでカスタマーサポート担当者とやりとりしてメールで別途見積りをいただく形となった。
▼ムンバイ→グルガオンの引越し見積比較
(タップまたはスクロールで右側表示)
① APML |
② 大手B社 |
③ 大手C社 |
④ ShiftKarado |
⑤ HappyLocate |
|
---|---|---|---|---|---|
見積り額 | 3万2,835ルピー (≒5万円) |
5万3,875ルピー (≒8万2,000円) |
5万ルピー (≒7万6,000円) |
3万4,466ルピー (≒5万3,000円) |
3万8,000ルピー (≒5万8,000円) |
これらの見積額には、荷物の梱包・開梱、荷積み・荷揚げ、運送、倉庫保管、保険、全てが含まれている。つまり、お任せパックだ。
最大手のAPMLが最も安いが、安すぎるのも怖い。あとから追加でチャージされるのではないかと不安がよぎる。というわけで、中間をとって④・⑤のどちらかにすることにした。
ShiftKaradoは20年以上の歴史がある運送業者が2016年に立ち上げた、スマホアプリで引越しを完結できるサービスで、引越し作業は同社のグループ会社のスタッフが行う。これに対し、HappyLocateは外部の引越し業者を手配してくれるサービスで、引越し作業は別会社のスタッフが行う。
そこそこの歴史があり同一企業グループ内ですべて完結するほうがなんとなく安心だと感じ、今回の引越しはShiftKaradoにお願いすることにした。
ちなみに、3~4年ほど前にデリーからムンバイに単身で引越しをしたという友人に当時の引越し費用をうかがったところ、3万5,000ルピーくらいだったそうなので、この辺りが相場なのだと思われる。
引越し前の準備
引越しは5月末。ムンバイは名目上はまだロックダウン中だったので、アパートのソサエティにオーナーを通じて「引越しのために作業員が何人か来る」ことを伝えておいた。コロナに関係なく、ソサエティからの許可がないと引越し作業をできないアパートもあるらしい。
先述の通り、梱包など全てが含まれているお任せパックで手配したが、梱包のクオリティは未知数だった。
そのため、陶器やガラス製のものなど、割れる可能性があるものは全て自分で緩衝材(プチプチ)でしっかりと梱包した。
インドはこれから雨季(モンスーン)の時期になる。倉庫の屋根が水漏れして段ボールが水浸しになる可能性も大いにあり得るため、布やレザーの衣服や鞄など、水に濡らしたくないものは全てビニール袋で包んでウォータープルーフとした。
また、当日作業員たちがスムーズに梱包できるように、ワードローブや引き出しから荷物を全て出し、似たようなアイテムをまとめて置いておいた。知らない人に棚を好き勝手開けられるのが嫌だった、棚の中の整理をしたかった、というのも理由である。
引越し当日
引越し当日、予約時間の30分前に当日の責任者(スーパーバイザー)に電話しOn the wayかどうかを確認。
予約時間ぴったりに、スーパーバイザー1名と作業員5名、合計6名が到着。
梱包
まずは梱包材の搬入。
インドの段ボール箱や紙袋は臭いということは、在印日本人の間ではよく知られている。牛糞が使われている、リサイクル技術が十分ではない、パルプ加工技術がしょぼい等々…様々な説が唱えられているが、結果として臭いことに変わりはない。
そんな中、ShiftKarado社が持って来た梱包材は独特の変な匂いがなく全く臭くなかった。日本の段ボール箱と比較しても遜色ないレベルであった。
梱包の質は想像をはるかに上回った。
高価なワレモノは事前に自分でプチプチで梱包していたが、さらにその上から緩衝材で包んでくれたので完全防護となった。自分で梱包していなかったモノも丁寧に緩衝材を使って包んでくれたので、多分大丈夫だろう。
私が自分で段ボールに梱包したアイテムについても、わざわざ箱を開封し、箱から取り出して梱包し直していた。(私が梱包した意味~)
5名の作業員たちは慣れた手つきで手分けして梱包を進めていく。その仕事ぶりはプロフェッショナル!やはり5名という人数は多すぎたようで途中から2人ほどが手余り状態となっていた。
各段ボール箱には番号が振られ、スーパーバイザー(青いシャツの人)が内容物を確認。
最後に、どの段ボールにどんな物が入っているのかをリスト化したものを確認し書類にサインする。
荷積み
荷物は大小含めて合計31箱。断捨離をしたので見積もり時よりも10箱ほど少なく済んだ。
バケツリレー方式でトラックに荷物を積み込む。作業員5名は多すぎるように思えたが、荷積みのことも考えると5名は必要最低人数なのかもしれない。
引っ越しトラック内はスッカスカ!当初の予定よりも荷物が少なくなったので引っ越し代も安くなるだろうか。
これにて引越し終了!
といきたいところだが、これで終わらないのがインドである。
Mathadi Union Charge
荷積み・荷下ろしをする作業員をマラティー語(マハラーシュトラ州で話されるローカル言語)で「
マハラーシュトラ州にはMathadiの労働条件などについて定めた法律があり、その法律を拡大解釈したものを根拠として、荷積み・荷下ろしをする際に「Mathadi Union Charge」を請求するのが慣例となっているらしい。この費用は引越し代金に含まれていない。
「俺たちに現金を支払わないと荷積みしてあげないぞ!荷下ろしてあげないぞ!」
一種の恐喝に近いものがあるが、法律には違反していないので従わざるを得ない。
現場のスーパーバイザーに「Mathadi Union Chargeを払ってください」と当たり前のように言われたものの、この悪しき慣習について私は何も知らなかったので、ShiftKaradoの営業担当者に相談した。
荷物が見積もりよりも減った分引っ越し代が安くなるので、その安くなった分でShiftKaradoがMathadi Union Chargeを支払う(私個人の追加支払いはなし)ということで話がまとまった。帳尻の合わせ方が大分ざっくりである。おそらく私が少し損しているような気がする。
今回の引越しでMathadiに支払った費用は4,500ルピー(≒約7,000円)。高すぎるのではないかと思ったが、後でグーグルで調べてみたところ、引越し時には数千ルピーの支払いを求められることが一般的であり、4,000ルピー前後を求められることもザラにあるようなので、4,500ルピーが高すぎるわけではないようだ。
トラッキング
追加費用(Mathadi Union Charge)の支払いを終えトラックが走り去って数分、SNSが届いた。
リンクをクリックすると、ウェブサイト上で到着予定日を確認できるので非常に便利だ。(ShiftKaradoのアプリもあるが、すぐに落ちるのでとても使えたものではない)
予定では7日でグルガオンに到着するらしいが、早く到着してしまうと倉庫利用期間が長くなってしまい追加支払いを求められる可能性もあるので、できるだけ遅く到着してほしいと思っている。
ムンバイ→グルガオンの距離は東北―九州間と同じくらいなので、日本の引越しなら3~4日で届く距離である。なぜ7日もかかるのかは謎であるが私的には14日くらいかかってほしいワ。
到着地編につづく…
出発地での荷積みは終了し、荷物は運送手続きに入った。
グルガオンで新居決定後、到着地での引越し作業についてもまとめられれば。
お皿やグラスが割れませんように🙏
水害に遭いませんように🙏
▼無事グルガオンに引っ越しました
www.chankome.com www.chankome.com www.chankome.com www.chankome.com www.chankome.com www.chankome.com www.chankome.com www.chankome.com www.chankome.com www.chankome.com