
ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
ヨガを始める理由は人それぞれだと思う。
体を動かしたい、体を柔らかくしたい、自分自身と向き合いたい、等々。どんな理由であれ、なにか新しいことを始めるのは素晴らしいことだ。そして一度始めたことを継続することは、もっと素晴らしい。
私は2年ほど前から本格的にヨガに取り組み始め、今では生活の一部となっている。
この記事では、私がヨガを始めたきっかけ、継続している理由についてまとめてみた。
他人がヨガを始めた理由について興味がある方もいると思うので、そういう方に読んでもらえればと思います。
ヨガを本格的に始めた理由
私がヨガを始めたきっかけは、「せっかくインドに住んでいるんだから、インド発祥のヨガを本気で学びたい!」と思ったこと。
「せっかく精神」の塊である私は、
せっかくインドに住んでいるんだから、インドに関連する知識や技術を身に付けたい
と思って、ヘナタトゥー(メヘンディー)やヒンディー語、インド料理作りなどに手を出してきた。ヨガもそのひとつである。
ヨガ(らしきこと)は昔からやっていた
インドに来る前、日本に住んでいた時も、ヨガ(らしきこと)をしていた。
昔からストレッチが大好きで体は柔らかい、日常的にランニングや筋トレをしているので筋肉や基礎体力はそこそこある、そしてミーハー気味な性格ということもあり、「ヨガをやってみよう」と思うのは必然で、日常のフィットネスのひとつに取り入れていた。
が、それは今思えば、完全にただのエクササイズだったし、「ヨガ」として認めることはできない。ヨガの基本の「き」も理解しないまま、難しめのポーズをとって筋肉痛になって、それでヨガをした気になっていただけである。
インドに来てからも、フィットネスの延長として不定期にヨガ(らしきこと)を続けていたが、あることに気付く。
日本で「ヨガ」といえば、健康意識や美意識が高めの女性がダイエットやフィットネス目的で行うエクササイズというイメージで、ちょっとしたファッション感がある。
それに対し、インドで「ヨガ」といえば、小さな子供から老人まで、誰もが健康維持のために行うものだったり、心を落ち着かせるために行うものというイメージで、生徒にはぽっちゃりさんも多く、年齢層も幅広い。
わたしがヨガだと思っていたものは、本当のヨガではないのかもしれない…
せっかくインドに住んでいるんだから本当のヨガを知りたい…と思い、ヨガの基本を学ぶコースに参加することにした。
ヨガの基本について学ぶ
私が住むムンバイには、世界最古のヨガスクール「Yoga Institute(ヨガ・インスティテュート)」がある。そこでヨガの基本を学ぶ7日間のコースに参加した。
▼1日のスケジュールはこんな感じ。
時間 | 内容 |
---|---|
7:00 - 7:15 | Swadhyaya(セルフメディテーション) |
7:15 - 8:00 | アーサナの練習 |
8:00 - 8:15 | 休憩 |
8:15 - 8:45 | 朝食 |
8:45 - 9:30 | カルマヨガについての座学 |
9:30 - 10:30 | 人生哲学についての座学 |
10:30 - 10:45 | 休憩 |
10:45 - 11:15 | アーサナについての座学 |
11:15 - 12:00 | 学校のエラい人の講演 |
12:00 - 12:30 | 昼食 |
12:30 - 12:45 | 食後のお散歩 |
12:45 - 13:30 | クリヤ(顔のマッサージと鼻うがい・浄化) |
13:30 - 14:15 | トラターカ(ロウソクの炎をみつめる瞑想) |
14:15 - 15:00 | ゲーム |
15:00 - 15:30 | アニティヤババナ(振返りトレーニング) |
15:30 - 16:00 | プラーナーヤーマ(呼吸法のトレーニング) |
16:00 - 16:30 | 軽食 |
16:30 - 17:15 | バジャン(ヒンディー教の歌を歌う) |
17:15 - 17:30 | 休憩 |
17:30 - 19:00 | アーサナの練習 |
19:00 - 19:30 | 夕食 |
パッと見てわかるように、非常に盛りだくさんの内容だ。
朝と夕方にアーサナ(ポーズを取ること)の練習があり、それ以外は座学でヨガの概念について学んだり、瞑想したり、エラい人の話を聞いたり、という内容。
朝食・昼食。軽食・夕食、4食付。おいしくてヘルシーなべジ料理を7日間いただいた。おそらく人生最初で最後であろうベジタリアン生活。
このコースに参加したことで、ヨガ本来の意味やなぜポーズをとるのかについて理解することができた。
(そしてヨガとは関係ないが、ヘルシー系インド料理にハマることにもなった。)
▼べジ料理美味しかったよ。こういうインド料理は1日4食を7日間食べ続けても胃もたれとは無縁だよね。
ヨガについて知る
ヨガ(ヨーガ)という言葉には、サンスクリット語で「つながり・結合」という意味がある。
古代インドでは、「輪廻」からの「解脱」を目指し、梵(宇宙、世界)と我(自分)がつながった・一体化した「梵我一如」の状態になって「涅槃(ニルヴァーナ)」を目指すための技法・手段としてヨガは実践されてきた。
輪廻とは、命あるものは何度でも転生し、生前の行い・業(カルマ)によって次の輪廻が決まるというインド哲学の思想のこと。輪廻は苦しいもので、輪廻から抜け出して涅槃に行くことができれば、永遠の幸せを手に入れられる。
輪廻については以下の記事で詳しく解説しているよ
古くから実践されてきたヨガであるが、4~5世紀ごろになると「ヨガ・スートラ」という「ヨガ修行 How To 本」が登場し、宇宙と自分自身、自分の心と体がつながるための8つのステップ(八支則)が紹介された。
-
環境を整えること
- ヤマ(禁戒)…他者に対して行うべき5つのこと
非暴力・正直・不盗・純潔・無所有
心身を浄化する - ニヤマ(勧戒)…自分のために行うべき5つのこと
清浄・知足・苦行・学び・信仰
心身から修行に不要な残りかすを取り除く - アーサナ(座法)
⇒ 瞑想しやすい安定した座り方 - プラーナヤマ(呼吸法)
呼吸をコントロールしてエネルギー(プラーナ)を取り込む - プラティヤーハーラ(感覚の制御)
五感と心を一体とし、外界にまどわされることなく心の本質で物事を判断 - ダーラナー(集中)
心の作用を停止し、思いを一点に集中させて他のものを侵入させない - ディヤーナ(瞑想)
一点に集中した思いを引きのばす(=禅) - サマーディ(三昧)
何ももたず何もせず(=無)ただあるがままで幸せという永遠不変の至福の状態
瞑想をするために整えること
瞑想
①ヤマ ②ニヤマで日常の生活を規律正しく整え、③アーサナで姿勢(体)を整え、④プラーナヤマで呼吸を通して気の流れを整え、⑤プラティヤーハーラで心を整え、⑥ダーラナ、⑦ディヤーナ、⑧サマーディで瞑想して心を一点に集中することで、梵我一如の境地を目指すというもので、一つ一つクリアしていくのではなく、同時進行で理解していく。
ヨガ・スートラについては、「インテグラル・ヨーガ」がもっとも分かりやすい解説書として有名。
瞑想をするための姿勢である③アーサナは、もともと座位(蓮のポーズ / パドマ・アーサナなど)であったが、時代が進むにつれて、何時間も同じ格好で座って瞑想するのは現実的ではなくなってきた。
そこで約1000年前に、8つの段階のうち、③アーサナと④プラーナヤマを中心に発展させることで成立したのが、「ハタ・ヨガ」だ。
ハタ・ヨガの基本は、呼吸により宇宙のエネルギー(プラーナ)を体内に取り込んで精神を整える、座位に加えてポーズをとることで体を整える、エネルギーを体全体にめぐらせ、瞑想によって心と体をつないで神経を整えるというものだが、最終的に解脱を目指しているという点は古代の静的なヨガと変わらない。
イギリス植民地時代の19世紀になると、西洋の体操を取り入れたりすることで様々なポーズが体系化され、インド伝統の健康体操としてポーズを取ることに重きを置いたヨガが世界中に広まり、いま世界中で普及しているヨガのベースとなった。
梵と一体化し、輪廻転生から解脱するための技法・手段
ポーズをとることの意味瞑想をするにあたり姿勢を整えるための体位
ヨガの奥深さ・宗教とのつながりに興味を持つ
ヨガの基本について学んだものの、よく理解できないことばかりであった。例えば梵外一如。
サンスクリット語では「तत्त्वमसि」(Tat Tvam Asi / タットヴァマシー)。
漢字ならまだ少しは理解できるような気もするが、サンスクリット語の単語で教えられると全く分からない。(ヨガを学ぶ上で避けては通れぬ道なんだよね・・・)
そこで先生に質問したところ、分かりやすく説明してくれた。

「タットヴァマシー」の意味が全然わかりません!

ブラフマン(梵、宇宙、世界)とアートマン(自分自身)は同じ存在であるということよ。
この世に存在するものは、みんな同じ宇宙からできているの。
海と雨が同じものであるように、あなたもわたしも、同じ存在なの。宇宙がお母さんだとしたら、私たち人間、動物、この世に存在するものはみんな宇宙の子供なのよ。

ちょっとまだ理解できないですね・・・

みんなが同じ存在ということは、あなたが苦手な人も、あなたと同じ存在。あなたが尊敬する人も、あなたと同じ存在。あの犬も、あの木も、みんな宇宙の子供でみんな一緒なの。
ヨガを通じて、大きな宇宙と、宇宙の一部である私たちがつながることができるのよ。
心と体を整えて、呼吸を整えて、自分自身の内面を見つめ続けなさい、ヨガを続けていれば、あなたも感じるはずよ。

深い…そしてよくわからんけどめっちゃ宗教チック…
ちなみに、この世界で最初のヨギはシヴァ神、その最初の生徒は彼の奥さんであるパールヴァーティーであるという。長くなるので詳細は省くが、これにまつわるヒンドゥー教の神話もあったりして、気になって気になって仕方がない…。
仏陀が悟りを開くまでの瞑想なんかも気になって気になって仕方がない…。

キニナル…キニナル…追及シタイ…
ヨガの奥深さ、そしてヨガと宗教のつながりに興味を抱いてしまい、ヨガについてもっと追究したいと思うようになった。
インドはヨガ発祥の地であり、ヒンドゥー教や仏教がが身近に感じられる国だ。
インドでヨガをすれば、アーサナ(ポーズ)だけでなく、哲学・宗教的な面も深く理解できるのではないかと思い、インド、ヨガに本格的に取り組むことにした。
ヨガ哲学とインドの宗教への興味が、私がヨガを本格的に始めた理由である。
ヨガを継続している理由
もともとヨガらしきことを昔からやっていた()おかげもあって、ポーズをとるのはと~っても楽しい。難しいポーズに挑戦するのも楽しい。
そして、楽しいだけではない。肉体的にも精神的にもヨガの効果を実感しているので、ヨガを継続している。
肉体的には、太りづらくなったり、姿勢がよくなったり、便秘が解消したりといいこと尽くめ。精神的にも、心を落ち着かせられるようになったり、ストレスを溜め込まなくなったりと、メリットしかない。
以下の記事でまとめている通り、ヨガを継続することで、心身ともに健やかな状態を保つことができる。
冒頭に書いた通り、ヨガは私の生活の一部となり、体と心のメンテナンスのためになくてはならないものになった。
「本格的」にヨガに取り組んでいると書くと、相当ガチでやりこんでいて難しいポーズもバンバンきめているように思われるかもしれないが、実際は基本的なことを自分のできる範囲内でゆるゆると毎日継続しているだけである。
ヨガは誰かと比較する必要もないし、順位があるわけでもない。自分のペースで自分のレベルに合わせて取り組めるので、継続しやすく、気が付けば日々のルーティーンになる。
ヨガを日常生活に活かす
今はインドで通っているヨガクラスに日本からリモートで参加し、アーサナとプラーナヤマを実践しているが、それ以外にヨガらしいことは何もしていない、というかできていない。
アーサナとプラーナヤマは、先に説明したヨガスートラの8つのステップ()のうちの2つにすぎず、主に体を整えることを目的としている。
体だけではなく、心もうまくコントロールできるようになれば、心身のバランスがよくなり、その考え方を日々の生活に活かすことで生活が充実するはずだ。
もともとヨガの哲学・宗教的な部分に関心を持ってヨガを始めたにも関わらず、なかなか時間が取れずにしっかりと勉強することができていなかった。 今は比較的時間に余裕があるので、この機会にヨガの教えについてじっくりと勉強したいと思い、早速書籍を購入した。
購入したのがこちらの本。
バガヴァッド・ギーター
「神の詩」という意味である「バガヴァッド・ギーター」は、古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」の第6巻「ビーシュマ巻」に収められる部分を収録したもので、マハーバーラタの中ではもっとも有名な場面。
この場面の主人公はアルジュナとクリシュナで、物語の中では幸せな人生を送るための瞑想や修行方法などについて具体的な実践方法が語られており、ヒンドゥー教が世界に誇る宗教を超えた聖典である。
「『バガヴァッド・ギーター』をよく学ぶものは他の様々な聖典を学ぶ余裕がなくても構わない」とも言われている。
世界には何億冊もの本があるが、それら膨大な書籍の山から人生を送るための智慧を探し始めるならば全生涯を費やしても足りない。しかしバガヴァッド・ギーターを勉強すれば、一切の聖典を学ぶのと同程度の、必要とされる全ての知識を得ることができる、ということらしい。
電子書籍版がなかったのでハードを注文。届くのが楽しみ~~~🙏
さいごに
私の場合、インドに来て 日本のヨガとインドのヨガが違うことを知り ヨガの基本について学び ヨガの奥深さと宗教とのつながりに興味を持ち ヨガに本格的に取り組み始め ヨガの効果を実感し 今に至る。
インドに来ていなかったら、ヨガの哲学・宗教的な部分に惹かれることもなく、私の中でヨガは永遠にアクロバティックなストレッチ、フィットネスの延長だったかもしれない。
色々と書いたが、結局はインドに来たことがヨガを始めた理由のもっとも深いところにある。インドに来て「ヨガ」に出会えてよかったな。やめる理由がないので、これからもずーっと続けていくぞ~~~!